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by morristokenji

スコットランド独立?日本の東北は!ー宮沢賢治のイーハトヴ共和国ー

 多忙のため投稿が遅れてしまいましたが、世界的な注目を集めた9月18日の英スコットランド独立の住民投票、「独立回避」の結果でした。しかし、投票の結果は反対55%、賛成45%でしたから、もし賛成が2-3%上回れば、スコットランドは独立し、NHKの朝ドラ「マッサン」の視聴率も、さらにアップしたでしょう。スコットランド独立の問題提起は、グローバルなレベルで世界史の近代の大きな転換の意味を持っているのです。また賛否が接近したことは、問題提起がこれからますます拡大する可能性を含んでいる。「日本のスコットランド」と言われてきた東北の独立も無関係ではいられない、そんな気がします。
 いうまでもなく世界史の近代は、イギリスを最先進国として進んできました。近代政治として1789年フランス大革命が有名ですが、それに先立ちイギリスの1688年名誉革命が近代政治の幕開けとされています。スコットランドは、1707年の連合法(Act of Union)によりグレートブリテン王国が成立するまでは、独立のスコットランド王国だった。名称もScots(スコット人)に由来し、言語もAlbaと呼ばれた言語でした。だから、イギリスが近代国民国家として成立に伴い、組織的に統合されたのがスコットランドだったのです。しかし、法制度、教育制度、および裁判制度など、ウェールズやアイルランドと共に、イングランドとは異なる独立した制度を残し、宗教的な独立性も強い。こうしたスコットランドが、独立のために住民投票を実施し、独立に僅差まで追い詰めた、これが今度のスコットランド独立問題です。
 17世紀の近代市民革命以来の近代国民国家の存立が、最近、世界的にいよいよ難しくなってきています。スペインでは、カタルーニア自治州、バスク自治州の独立、イタリアでも北部同盟の諸都市、とくに北部ベネチアの動き、オランダでもフランドル地方での新フランドル同盟の動向など、いずれも今回のスコットランド独立の住民投票に連動したグローバルな動きと言われています。グローバルな動きと言えば、中東諸国におけるイスラム国の登場に至る宗教的・民族的運動もそうだし、東欧のウクライナ問題、さらには中国でのチベットやウィグル族の問題も、近代国民国家の組織的統合を根底から揺り動かしているのです。近代国民国家の国のかたち、国のあり方が問われ、近代科学技術文明とともに、近代社会の存立が問われているように思います。そうだとすれば、今度のスコットランド独立の住民投票が、世界的に注目を浴び、投票の結果も僅差だったことは、看過できない問題提起です。
 
 産業革命による先進資本主義の発展は、19世紀にはイギリスを中心に経済的自由主義の時代を迎え、自由放任の「小さな政府」を実現しました。国家は夜警国家であり、経済の発展は自由な市場原理の機能に任せれば良い時代でした。近代国民国家は夜警国家の法治主義による民主政治の実現に向かったのです。さらに資本主義経済も、周期的恐慌を梃子にしながら、景気循環の成長を自律的に実現した。しかし、19世紀末から資本主義の発展が高度工業化を迎え、植民地の支配による帝国主義の時代に変わります。「小さな政府」は大きな官僚国家、行政国家に転換し、中央集権的な財政運営に転換したのです。
 20世紀は、植民地支配をめぐる戦争と革命の時代に変わりました。とくに第2次大戦後の冷戦体制は、米ソ対立を中心に東西二つの世界が、核兵器や原発の開発競争、そしてイデオロギー的に対立する時代を迎えた。東のソ連の国家社会主義、西も自由と民主主義の価値観で統合し、「福祉国家主義」ともいえる国家主義の巨大な政府の時代でした。こうした国家主義の負担に耐え切れず、まず1991年にソ連が崩壊し冷戦体制が終わる。一人勝ちのアメリカもネオコンの一極支配の夢が破れ、アジア中心に後退しながら混迷を深めています。もはや世界の警察官の面影もありません。そうしたポスト冷戦の中で、近代国民国家の体制の枠組みが崩れ始めた。スコットランド独立も、近代国民国家のグレート・ブリテンの枠組みが破れ始めた証左でしょう。なぜポスト冷戦で近代国民国家の枠組みが崩れたのか?
 1)東はプロレタリア独裁の国家社会主義、西はアメリカを頂点とする自由と民主主義のイデオロギーによる東西対立の統合の絆が失われたこと。
 2)先進資本主義国も、自立的な景気循環による成長力を失い、いまや長期停滞の慢性的デフレで「定常状態」に陥っていること。
 3)ポスト冷戦による市場経済のグローバルな拡大も、無秩序、不均衡、格差拡大をもたらすだけであること。
 4)世界の基軸通貨ドルを中心に、デフレや金融恐慌の乗り切りに財政・金融の超異次元緩和を続けても、実体経済の成長につながらず、投機資金に回って、財政危機を深刻化して「福祉国家主義」も破綻に追い込んでいること。
 とくに地域的不均衡が先進国の地域でも拡大し、もともと近代国民国家の成立の時点で内戦や内乱などの対立を経験して、国内的統合に無理のあった地域の独立の機運につながっているのではないか?グレート・ブリテンでも、スコットランドにはアイルランドと同様な独立の機運があり、上記のように教育や財政の制度や法律まで自治分権が強い。それを背景に90年代末に分権への住民投票、自治議会の選挙も行われ、さらに今回の独立のための住民投票を迎えたと言えますし、今後もますます独立の機運が高まるでしょう。

 そこで日本の東北ですが、中央政治の支配の届かない遠く「みちのく」にまで遡るのは省略します。いうまでもなく東北は、日本の近代国家成立の明治維新では、奥羽列藩同盟を組織して官軍に歯向かった賊軍、その犠牲者は靖国神社にも祀られていないのです。明治維新の私有財産制度の成立に当たり、東北の賊軍たちの山林や土地は、国有林・国有地として召し上げられてしまった。明治以降の近代化の中でも、東北は中央の明治政府に利用され、犠牲にもなってきた悲しい歴史がある。戦後も、東北開発の名のもとに、自然資源と共に労働力の供給基地として利用され、出稼ぎから過疎、そして所得格差に泣いてきた。福島には、東北電力ではなく、東京電力の原子力発電基地が押し付けられ、「原発銀座」と呼ばれた。今や放射能汚染の「永久」貯蔵地域として「捨村」されようとしているのではないか?
 「捨て子でも生きる権利は持っている」、東北の生きる道として、東北独立を考える自由はあるはずです。福一の放射能汚染は、明治維新で召し上げられた東北の国有林や国有地に永久廃棄埋蔵して「死の町、死の村」にする権利が中央政府にあるのか?東京電力の廃棄物の発生責任はどうなっているのか?われわれ東北人には、今こそ宮澤賢治の理想郷「イーハトヴ共和国」として独立する道を考えてみる権利はあるはずです。
 今回は、問題提起だけにとどめ、以下、東北独立の条件をスコットランドを参考にしながら、具体的に考えることにしましょう。 
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by morristokenji | 2014-11-04 13:53